デジタルとアナログの中庸

日常はITにどっぷり、時々市中の山居。

AgileJapanでの熱いキーノート

2014/06/27 AgileJapanに行ってきた。
キーノートがめちゃくちゃ熱かった。
全然まとまってないけど必死こいてとったメモ。
活字では伝わらない、経験からくる言葉の重みやパッションがあった。
 
 
 

ソフトウェア開発者に問う~日本のものづくりの本質とは~

元日産GT-R開発総責任者 水野さんキーノート

 
 
 
GT-Rは通常の開発からは完全に外れていた。
GT-Rの話がきたとき言ったことは「権限はいらない、責任をください」と。
 なぜか?
 企画、開発、精算、サービス、品質保証もすべて一体にしたかった。
 
GT-Rを売ってたのは6店舗だけ、それでも数千台売っている。
 
なぜ絞ったかというと僕の言葉を代弁してくれるのが届く範囲、それがその6店舗のセールスマンでありメカニックだから。
企画、開発、精算、サービス、品質保証もすべて一体になることが日本のいいところ。

言葉に感性のない国はブランドを持たない。
共通の価値観を持った国がブランドを持っている。
 
「共通の価値観」これが大事。
  
ドイツの文化や技術を理解しないまま作ることで失敗している。 
民族が単一であって価値観が共通でありチームを組めることが唯一の財産。
それをGT-Rで示したかった。 
 
日本人の文化
女子バレーの佐々木さんがまさにそれ。
 10年と言う安定した雇用を保証し、その中でメンバーは足りないところを知り、安心して海外で腕を磨いてくる。
一人ひとりの力は不足していてもそれは当然で、なのにそれが生きてくるのは、チームの中で自分の役割を与えているから。 
合わせて発揮される力。 
会社も同じ。
  
グローバル、グローバルと言われているけど
日本人の文化と力というのは素晴らしい力を持っている。
そこでアメリカのマネジメントを入れて負けたり失敗している。 
車も同じ。
  
日本人は最短でモノを作れる力を持っている。 
なぜなら地頭がいい。 
言葉にしてもそう。行間を読むとか、感性がある。海外はない。 
英語だと微妙な表現のバリエーションがない、殆ど表現が一緒。
 
レースで勝つにはどうしたらいいか、
1番の車と1番のチームをもってくる、そういう単純な発想 
会社としてはそう決断した。
 
Lola - 世界一 
  + 
NISM - 日本一
 
で勝てる車が作れるか
現実は文化の違い、距離の違い、 
お互い、あいつら全然わかってない、とバトルが起こり成功しない。 
 
レースは早さじゃない、精度と効率だ。 
 
みんなやっているのは How to race 
そうじゃない。What is race
 
やったのはビックデータ。 
全部のデータを取って全て分析する。
今まで毎年2分ずつ早くなってきている、とすると 
車  
ドライバー 
ピット 
各々早くするタイムを割り当てる。
どういうトライをするか。
ドライバーすら向上させる。
 
データは生きがいと働きがいを与えるマネジメントツール。 
裁量権と目標を与える。 
ただし目標はあいまいではいけない
この分析と目標ができた時点で、1年前にレースは終わっている。
データは集めるだけじゃいけない。思考しなければいけない。
トヨタのだれそれならこういうデータをこう考えるはずだ、など思考シミュレーションする。
データはあくまで準備。それだけではいけない。
プラス使い方がいる。
その時点、1年前にレースは終わっている。だから全線全勝できる。
バクチやっちゃいけないです。 
本質を見極めればチームと一体となれば無駄なトライアンドエラーをせずにね。
  
チームが未来を共有し、全力でそれに向かう。 
エラーはいらない。
人モノカネは本来その半分でいい。 
どうしてそれができるか、エラーがないから。
 
 僕は新しい部署にいくとまずは業務分析をする。
その結果リーマンショックだとかなんだの前にやったこと、
 アメリカドルは忘れろ。
 ヨーロッパで認められる車を作れ。
 
 不景気というのはお金持ちがお金の使い道に困って抱えてる状態
 そこに商売がある。
 スーパーカーじゃないクルマがスーパーカー追い抜かしたらすごくない?
 その予想もしないことをできるのが日本人。
 シルクロードを考えてみて
 一握りの泥かためた茶碗、壺、
 蚕の絹、これを日本人が織ることでヨーロッパに渡ると宝になる。
 スーパーカーなんて作らなくていい。
 
雨降っても雪ふっても、300km片手でおっさんが運転できる、300kmでバーストしたって普通にディーラーにタイヤ交換に行けばいい、行ける車。
スーパーカーじゃないスーパーカーを作った。
 
真似してもそこにはなにも創造性がない。
 
技術屋が陥りやすいこと 
技術の進化とは何か?
技術の進化で値段があがったことがあるか?
機能があがって値段がさがる。
技術の進化は実は値段を下げること。
技術の進化が付加価値と思ってはいけない。

賃金格差で値段をさげようとする。
技術をあげずに単純に値段で差を産もうとする。
 
+ー3でやっていたことが、アジアの現地工場は+ー5で許容してよ、となる。これが現地化。それがあつまるとどうなるか。
車という途方もない数の部品がある中で、その現地化がおきるとどうなるか。
 
以前は常にベスト10に入っていた。
タイで作るようになってベスト10にもはいらない。
低い技術レベルにあわせた原価低減の結果。
 
技術開発で原価を下げるか
賃金格差で原価を下げるか
 
商品は本当に進化しているか?
 
トヨタ、スバル、マツダ、日本にある程度基盤をおいているところは利益確保できている。
3.11以降、トヨタなんてすぐ東北に工場を作った。
あれは素晴らしい。
復興に加え、やる気を起こさせる。
 
 
 
それになぜ気づかないか
会社というフィルタがあるからニュートラルにみれなくなる。
なにもしなくていいんだ~になりあがる。
 
皆就職した時、社会的責任で職業を選んだ。
○○したい、でこの職をえらんだはず。
それが 
役員がいったから、経営会議でいったから、工場でそういったから、業界がそういう流れだから。。。
になる。 
 
 会社は実現の手段であって How to でしかない。
 職業の選択は、What、Why
 ここをみんな会社がWhat Whyと勘違いしだす。
 
リサーチ会社の言葉が本当に商品を作ったか。
本当に事実を知ったら発想は簡単に出てくる。
 
ドイツ車はやはりいいのか。
ドイツは市街を開発用のナンバープレートを付けてやってる。
政府がOKしている。 
ドイツ車はリコールが少ない 
日本はテストコースのみ。あんなの箱庭。
渋滞のトロトロ運転、雨雪の走行、そんなのやれてない。国がOKしない。
 
発想。
入社して付き人制でつける。
HowToじゃなく、WhatWhyで思考を育ててる。
昔から歌舞伎、落語、同じ。
 
現場の価値の想像。
物事の開発の上流はプログラマーや設計者と思っていないか。大間違い
設計や企画なんて言うのは見えない従属で縛られている。
開発の最も上流にあるのは、現場の技術。
モノで作れる限界
現場で作れる精度
現場で作れないもの設計書いて、意味が無い。
海外でつくりゃいいなんて単純な発想になる
 
+ー1.5
そんなものできない、どうするか
設計が言ったから、言ったから、言ったから、と。そんなものは関係ない。
日本の良さは現場。とにかく現場もってこい、やってやる。
トライアンドエラーはアメリカ人がやる無駄なもの
 
共通の目標もない
 
トヨタ、日産、ホンダ、部品は同じようなもの。
なのに違うものができる。
なぜか。
うけとったアセンブリする側の問題。
アセンブリメーカーの力。人の手、現場の裁量、ここで変わる。
 
精度というものに対して管理と理性だけの値引き。
ネジ1本緩まない車と、経営者がどっちを見て仕事をするか
 
海外移転で永遠にディスカウント合戦とクレームで成長しない。
 
現場と設計がかけあえる。
現場のレベルがあがらなければ設計のレベルもあがらない。
賃金格差の原価低減ではなく多様化の原価低減を。
徹底的に日本の文化を入れてやらないことには、育成しないことには将来がない。
技術が設計を支配している事を認識したうえで。
人として教育する考えでなければならない。
価値観概念、グローバルを超えた本当のグローバルがある。
 
民族が結集すると、もっといいもの、競争力があるものができる。
エアバスがいい例。(ドイツ車)
ボーイング(アメ車)
 
想像力といったときに大事なことは、認めること。
過去は習うもの、未来はそこにない。
未来は画像、夢は画像。言葉にならないから画像で想像するでしょ?
言葉はカコを表すもの。
未来っていうのは言葉にならないこと
 
GT-Rスーパーカーか否か、なんなんだ?みたいなことを色々言われた。それは今までなかったもので、型にハマる言葉がなかったからこそ。
 
言葉と数字はカコみんなやってきたツール
言葉から未来は出ない。
 
GT-Rは年2回皆で合宿している。
合宿は共通の画像を見る為のツール。同じ価値観を持つツール
未来を見るときに大事なのは討論しちゃダメ。
1人で考える。討論したら言葉に、カコに戻っちゃう。
シーンを作れるリーダでなければものづくりはできない。
 
 
 

質疑

 
Q 人月をどう考えるか
 
A
人月
キライ。工数じゃ何くて能数。
原価低減活動は行わない
1000円、1万円のいい金の使い方をしてくれ。
その1000円を使って1万円で売れたら9千円の利益。
金を使わなければ利益も出ない。
 
 
 
Q 新しい事をする上でリーダ、チームが持つべき価値観は
 
A
なんでチームがバラバラになるか
趣味で仕事をすること、趣味は自分のため。
 「仕事は人のため。」
共有というキーワードは、喜びという
人のためにと考えると目的はすぐ決まる。方法はアイデアは無限に出てくる。
お客さんのため、と考えた時
どんなお客さんにどんなものを届けて喜ばせないか、具体的なシーンに落としこむ
まず何つくろうか、と考える
300kmで会話ができる、とかんがえるとあとから実現すべきことがついてくる。
 
 
 
 
 
Q 開発にひとことください
A
全ての人のために仕事をしようとすると何のポジションかわからなくなる。
自分が本当は社会人と使命を果たすために入ったはず。
それを自問自答する。
欲は持たないでほしい。
僕は趣味もすてた。自分のなにもかもすてた。
全ては人のため。
人生なんて一度キリ。
失敗した時はおれを雇ったゴーンが悪い。と考えて失敗を恐れない。
失敗してもいいじゃない。
アメリカを真似る、見るじゃなく、世界をみなきゃ。その先を見ることが大事。